やっぱり、恋ってよくわかんないや。
「はぁ…。」
流れる雲を、ぼんやりと追い掛ける。
そうして物思いにふけていると、突然背後から聞こえた声。
「おい。」
「へ?」
振り返った瞬間、驚き…
いや、恐怖で思わずホースを落としそうになった。
「お前、何してんの?」
不機嫌極まりない声のエース。
…ミチルくんだーっ!!!!
「何してんだって聞いてんだろーが。」
ぱくぱくと、まるで魚のように口を動かしながらも、何も答えないあたしにミチルくんは更に不機嫌さを増して言う。
「おい、聞いてんのか!」
「はいっ!きき、聞いてますともっ!…っきゃあ!」
やっと声が出たと思った、その時。
青い青い空に
弧を描き、水しぶきをあげるホース。
うっかり踏んづけてしまったホースに引っ掛かり、バランスを崩すあたし。
その先はまるでスローモーションみたいに、水しぶきの矛先は
彼、ミチルくんへ―――。