「っ・・・・!!!」


目を開けると白い蛍光灯が見えた。


服は汗で湿っていて嫌な感じがする。息も荒くて目眩がする。



「ハァ・・・ハァ・・・・!!!」


息を整えて額に手を当てる。


「サイアク・・・。」

愛未の体は熱をもっていて頭に鋭い痛みが走る。だるいし体は重たいし、まさにこれは風邪・・・・。


これ以上ここに居るわけにもいかないし・・・・。どうにかして帰らなきゃ。





「あ、起きた。」


リビングに出ると、キッチンに立っている稲垣と目が合った。


「って・・・フラフラじゃんか!」

「う~・・・ん。てかもうまな帰るからぁ・・・。」

愛未はソファの上に置いてあった自分のバッグを肩にかけて、玄関から出ようとした。すると、後ろから稲垣が後ろから言った。

「送ってくよ。家どこ?」

そう言いながら部屋から車のキーを持って来た稲垣は優しく笑った。


「は・・・?いいよ別に。誰か呼ぶから。」

「遠慮すんなって!」


クロックスを突っかけて稲垣は先に玄関を出た。

愛未も渋々自分のスニーカーを履いて玄関を出る。


稲垣の車はシルバーの軽で、車内はなかなか綺麗に片付けられている。


「まあ乗ってよ。」

「・・・・お願い・・・します。」

「ははははは!お願いしますって何だよ!」


ケタケタ笑いながら車のエンジンをかけた稲垣はMDを流しながら車を走らせた。