「・・・・なんで?」

「俺が彼女と出会った時、
彼女は愛未ちゃんと
同じような表情をしてた。」


小さく音をたてて

カップを置いた。


「付き合ってから知った。
彼女には消えない過去が
まとわりついていた。」

「・・・・。」


「今でも彼女の腕には
リスカの跡がある。」


稲垣という人の目に

涙が溜まっていたように

見えたけど

すぐにまた笑ってみせた。