今にも噛み付きそうな俺たちの間に、ガチャ、と静かに助手席のドアが開いて黒いスーツにサングラスをかけた男が出てきた。しかもなかなか体つきが良い。


この物腰の柔らかい男は、どこかの金持ちで、この黒い男はボディーガードか何かか。

品定めするようにじろじろと誰もが黒い男を見る。


あらら、と物腰の柔らかい男は困ったような、呆れたような声を出した。




「キミまで血気盛んになってどうするの」

「…そろそろお時間の方が」