けれどすぐに動かなくなって、まだ夢の中にいることがわかる。

俺が身動きをしたせいか、もぞもぞと寒そうに体を小さくする綾芽の肩に布団をかけて、綾芽の幼い寝顔を見つめた。




…先程見た夢の内容を、目が覚めたと同時に忘れてしまえれば良かった、と思う。

けれどそんなこと、きっと俺自身が許せないだろう。


忘れてはいけない、記憶。

目の前で最愛の人を奪われた、この苦しみ。


…綾芽に出会ってからは見なくなった夢。

カオリとの最期のシーンの、夢。