「本日はまことにありがとうございました。
裕美さんも莉子さんもどうぞまたお越しくださいませ。」



店の入り口で深々と頭を下げた。



「またくるわね。
じゃあ、おやすみ」


裕美さんと莉子さんは呼んでいたタクシーで帰っていった。



「いい客ですよね。裕美さん」

一緒に見送っていた新入りのホストが言った。

「莉子さんはまたくるかな」


「わからないですね」


そんな会話をしながら店へ戻る。



「リュウ、今日お前時短だろ?
あがっていーぞ」


先輩がいってくれた。



「ありがとうございます」

時短とは、その名前のとおり、時間が短いということ。
それでも時計は0時をまわっている。
このクラブの閉店時間は深夜3時。
もちろん終電はおわっているからいつも車を使っている。