「おはようございます、山野さん」

「おはよう芽依。今日は寒いわねー。一気に冬が近づいているってかんじね」

「そうだね。今日はなんの撮影?」


あれから、数週間。
木から少しずつ離れていった葉は、いまはもう、地面の下にある。
木は、次の春への準備をはじめていた。

リュウとは、ちょくちょく会うようにしてる。
何気にリュウは頭がよくて、読書好きだと知ってびっくりしたり。
リュウの新しい一面を知ることはとても嬉しいことなんだけど、そのたびにあたしは、

「全然知らなかった」

ってちょっと落ち込んでしまう。