「一ノ瀬…仕事は終わったのか?」


あたしが座る机の上を指差して尋ねる。

机の上には手付かずの書類の山3つ…。

書類の内容は…この地区で騒がれている極道の情報だった。

新米のあたしは知らないことばかり。


『す、すみません本多さん。あたし…文字とか見るの苦手ですっ!!』


胸を張って言い切ると頭をポカリと優しく叩かれた。


「威張るなっ!!…そんなんじゃ…一ノ瀬警視に追いつくなんて無理だぞ」


一ノ瀬警視…殉職した…あたしの父親。

本多さんの…警視庁で働く人達の憧れだったらしい父。

無謀ながらあたしも一ノ瀬警視を尊敬して…追いかけている人物の一人で…