「ここ、秘密だから。秘密の場所だから」


「うん、ふたりだけの秘密」


愛奈にさえ教えなかった場所。


誰にも教えないと思ってたけど、まぁ…いいよね。


「空に近いって感じで…」


「俺も好きだな」


慧は地べたに座って、大きな雲を指差した。


「あの雲、大きいよな。何でも包みそう」


「うん…」


大きくて真っ白な雲。

ずっとこうして見ていたい。

深呼吸をして、ポケットに入れておいた真哉との写真。


ぐしゃぐしゃにして、もう一度深呼吸。


そして…空に投げた。