ぼんやりしながら、洗っていると慧があたしの手をつかんできた。


「離してよ」


「言ったろ?俺も手伝うって」


…だったら、違う野菜洗ってよ。

わざわざ、あたしが洗ってるものじゃなくても。


「野菜切れる?」


「…バカにしないでよ」


洗い終わった野菜を切ろうとしたら、慧が心配そうにあたしの肩をつかむ。


…っ、目が…目がっ。


「代わるよ」


あたしから包丁を奪って、あたしより速く切って皿に乗せた。


「俺も一応、料理はできんのよ」


「あっそ」


あたしだって、一応できる。

ただゆっくりと。