車に乗ろうとすると、助手席に座れと言って無理矢理、あたしを座らせた。


「あ、そこでいいから」


「家まで送る」


「いい」


「そこまで俺に知られたくないの?」


知られたくない。


だって、知ってしまったら…毎日のように家に来るかもしれない。


「絶対、嫌」


「絶対、送るから」



結局、家まで…っ。

ま、まぁ…部屋を教えなければいいや。


「どーもっ」


「あ、部屋まで…」


「どこまで来るのよっ」


走って部屋へと向かったけど、また追いかけてくる。


しつこいってば!


「エンジェルって一人暮らし?」


「そーだよ!」


慧を睨んで、扉に寄りかかった。