唇を拭いて、慧を睨んだ。


「エンジェル、唇柔らか~」


「当たり前でしょ…って、違う!」


観覧車がやっと止まって、すぐ飛び出て走った。


もう嫌。

やっぱり関わらなきゃ、よかった。


「待てよっ」


「やだっ」


でも、すぐに腕をつかまれた。

やだ、やだ。離せってば!


「エンジ…」


「大声で呼ぶな!」


本当にアホだし、バカだし…嫌い。


慧の手をつねる。
でも、離してはくれない。


「あたし…帰りたいんだけど」


「じゃ、送るから」


頷くしかなかった。


帰りたいから。すぐに帰って、お風呂入って、体重計乗って…やることはたくさんある。