「ちなみに、俺は榊原慧。慧って呼んでね」


「…もう会わないから呼ぶ必要ないじゃん」


さっき頼んだ烏龍茶のストローの先を噛んで言った。


もう疲れた。帰りたいんだけど。


「そろそろ帰る?」


「帰る」


財布を取り出して、お金を払おうとしたら慧があたしの手をつかんで、店員に自分のお金を渡した。


「おごってって…」


「いや、ただ一緒に飲みたかっただけ」


あたしは早く帰りたかったのに。


「じゃ、さよー…」


「あ、携帯いいの?」


は?

携帯なら、バッグの中にある…って…!?