「やだねぇ、近頃の野郎は」


男のうしろに、背がでかくてカッコイイ男がいた。


「んだよ、あんた」


「その子、俺の女だから。離さねぇと…」


「男いんのかよ…」


舌打ちをして、しつこかった男はさっさと逃げてった。


体から力が抜けて、座り込んだ。


「怖かった?」


「…疲れた」


「普通、怖かった。じゃない?」


「普通じゃないからね」


あたしの手をつかんで、立ち上がらせてくれた。


「…ありがとう」


「どういたしまして。夜はひとりで歩かないこと。わかった?」


「…勉強になりました」


まぁ、感謝するよ。