ビールをゆっくりと飲み干す。


「ねぇ、ひとり?」



「…そうだけど」



「一緒に飲もうよ」



「ひとりで飲みたいから」



馴れ馴れしい。
椿みたいで嫌い。

肩に手を置いて、隣に座った男。


その手を払って立ち上がる。


店員に声をかけて、一万円を渡してお釣りを受け取らずに外に出た。


すると男も、あたしについて来る。


「ねぇ、ヒマなんでしょ?」


「来ないでよ」


「冷たいなぁ、でも俺のタイプ」


無視しよう。
こんなの相手にしてらんない。

駅へと走る。
男はしつこくついて来る。