千依さんが泣き止むと、慧が千依の腕をつかんだ。


「お前の彼氏に会わせてくれ」


「ううん、もう迷惑かけないから」


千依さんは、立ち上がって帰ってしまった。


…大丈夫かな。


「エンジェル」


「…何?」


「付き合って…って言ったらどうする?」


「断る」


あたしは、窓から空を見上げた。

月…すごく綺麗。


「じゃ、今まで通り?」


「…さぁ、ね」


携帯を取り出して、椿にメールを送った。


【やっぱり、ごめん】


…付き合えないや。

慧と付き合うわけじゃない。