目を開けると、目の前には慧がいた。


「…ごめんな」


あたしは、頷くことも…できなかった。

だって、慧の元カノは泣いていたから。


泣きながら、お腹をさすっているから…きっと、赤ちゃんがいるんだ。


「千依」


「…ご、ごめんなさい…」


「待って!」


土下座をしようとするから、あたしはつい叫んでしまった。


「…赤ちゃんいるんでしょ?」


「え?」


慧は今知ったかのように、元カノを見た。


「…うん」


やっぱり。
ちょっと、お腹大きいし。