あの女の名前を、必死で呼ぶあんたは…やっぱり嘘つき。


「あんたみたいな男…っ、本当に…っ…」


悔しい。
涙が溢れる。


『大嫌い』


そう言ってやりたいのに。

慧の腕の中で…泣きじゃくっているあたし。


「ごめん…」


携帯がポケットから落ちた。


あたしは、その場に座り込んだ。


「ごめん」


唇に柔らかくて、温かい慧の唇がそっと触れた。


許したわけじゃない。

ただ…動けなかった。