椿の顔が近づいてきた。

あたしは拒むことはしなかった。


優しいキスを、受け止めた。


しょっぱいキスで、あたし達はもう一度抱き合った。


「好きじゃなくても、俺は千亜が好きだから」


「…ごめん…ごめん」


キスをすると思い出す。


慧達も同じように、キスをしてるんだろう。


あの女を抱いてるんだろう。


携帯のアドレス帳から『慧』の名前を見つけた。