手を見つめながら、あたしは唇を噛む。


『エンジェル』


そう呼んでくれる慧の声が、まだ耳に残ってる。


「バカっ…」


苦しくて。悲しくて。


やっと本音を言えるやつだったのに…突き放してしまった。


心のどこかで期待してたんだ。


慧が来てくれるんじゃないかって。


『エンジェル~!』って、叫びながら…来てくれるって。


…23時。


あと、1時間で明日が来る。


時計を見る度、あたしは考えてしまう。