「頼むから帰ってくれ」


「じゃ、抱いて?この子の前でね」


戸惑う慧を見つめながら、悪魔のように笑う千依と呼ばれる女。


「抱いてくれれば、素直に帰るけど?」


あたしは目を閉じて、考えた。どうしたらいいのかを。


「バカじゃないの?」


あ、間違えたっ!

『いい加減にすれば?』って言おうと考えてたのにっ。


失敗した。


「は?」


ええい、もういいや。
女を睨みながら近づいた。


「抱いてほしいなら、そこらの中年オヤジんとこ行けば?」


言ってしまった。
でも、後悔してないよ。