「お待たせ致しました」

料理を乗せたカートを押し、薫の待つ自分の部屋まで持っていく。

初めてなのに何度もされたのがキツかったのか、日頃の疲れからか、うっすらと唇を開き眠る薫を起こす。

「んぅ……?」

「お待たせ致しました。お夕食です」

「あぁ……」

ベッドから腰を庇うように、上半身のみを起こす薫。……うーむ、ベッドの上では料理を広げられないのだが、薫を椅子に座らせるわけにも……。

あ。

「はい、あーん」

「ひぃっ!?」

箸で生姜焼きをつまみ、薫の前に差し出した私に薫が一気に後退る。

「どうかなさいました?」