「と、し……っ」

名前を呼ばれ、貪る唇を止める。

「……何です?」

「も……だめ……」

瞳を涙でうっすらと濡らし、上目でこちらを見る薫に必死に理性を呼び起こす。

「……嗚呼、すでに夕御飯の時間も過ぎていますしね」

そして、薫の頭の下から腕を抜き、ドレスシャツの袖に腕を通しスーツを着る。

「そうだ……腹減った」

「仕方ないですね。歩けないでしょうから、こちらに料理を持って参りますので待っていて下さい」

「うん」