「あっ、そう言えば、帰りも一緒にかえるんでしょっ?」
「・・・うぅ、分からない・・・」
「えぇ―、どーすんの?」
・・・どーしよう。
「でも、一緒に帰ってもさぁ、話題が無くて・・・しかも、海君無口だし・・・」
「そんなの関係ないのっ」
「でも・・・」
「とにかく、あんたが楽しく話せばあっちも楽しくなるのっ」
美香、熱い・・・。
でも、あたしのために言ってくれてるんだよね・・・。
美香に感謝、感謝・・・。
「話題は、『誕生日いつ?』とか、『兄弟いる?』とか、『もうちょっとで夏休みだね』とか、楽しくなるねようなことをね」
「ありがと、美香、大好き」
こんなに、あたしのことに必死になってくれる、美香。
もう、最高。
本当に、本当に、ありがとう。
「じゃっ、行って来るね」
「いってらっしゃい、また明日ね」
「うん・・・」
・・・ふぅ、いざ4組へ。
4組に着いて、海君を目で探すと友達と話していた。
・・・海君、友達といるときは楽しそう。
・・・あたしも頑張るぞー。
海君、こっち見たよね・・・。
あっ、こっち来るよ・・・。
「来てくれたの?」
「うん・・・」
「ちょっと待ってて」
「うん・・・」
はぁ、落ち着けあたし。
美香のためにもがんばらなくちゃっ。
よっし、笑顔でいくぞっ。
「お待たせ」
「じゃぁ、帰ろっか」
笑顔、笑顔。
・・・話題を・・・。
何だっけ・・・、えっと、あの・・・、あっ。
「友梨っ」
美香が少し離れた所から叫んだ。
「今、帰りっ?」
「えっ、あっ、うん」
何だろ、美香。
「あっ、海君ですよね?」
「あっ、はい」
「友梨の友達の美香です、よろしくねっ」
「あっ」
「あたし、もう行かなくちゃっ」
「友梨と海君バイバーイ」
「バイバイ」
はぁ、美香、あたしのこと心配してきてくれたんだ。
ほんとっ、助かった。
「そーいえば、海君の誕生日っていつ?」
笑顔でっ。
「あー、7月17日だよ」
「そーなんだ、えっ、じゃぁ、あと10日じゃん」