そして宣言通り、会社に戻ったあとは、やりかけだった書類をまとめただけで、さっさと帰った。

幸い、急ぎの仕事もない。



「先生、仕事は?大丈夫だったんですか?」

「ああ。余裕余裕」


急いで結衣を大学まで迎えに行き、浴衣を着せるために実家まで連れて行っている。

こんなに早い時間に仕事を終わらせることはまずないので、結衣も不思議そうだ。


「でも、どうして急にお祭りに行こうと?」

「やっぱ、祭りと花火っていったら、恋人の必須デートだろ!」

とは言ったものの、ただ結衣の浴衣姿が見たいだけだ。



それに、人ゴミのなか、結衣をあちこち連れまわすつもりはない。

結衣がきっと疲れてしまうのもあるが、貴重な浴衣姿を他の奴らの目に触れさせたくない。