「うーん?どうだ・・・」
バシャバシャ!!!
「わぁーん!」
小さな男の子の泣き声が聞こえ、思わず振り返る。
「!」
振り返った先には、岩場に座る幼い男の子。
浮輪が流れてしまったらしく、岩場から動けないでいた。
それでも必死に流れた浮輪を取ろうと腕を伸ばしている。
岩場の近くは深いし、波が荒い。
「落ちたら危ないよ!」
そう思って近づこうとしても、浮輪をしたままでは中々進まない。
でも浮輪を外して泳いで行けるほど泳ぎが得意な訳じゃない。
でもそんな事をしている間にも男の子はどんどん腕を伸ばし、海に落ちそうだった。
「ダメ!落ちちゃう!」
自分の浮輪をはずし、ヒーちゃんに押し付けてとにかく男の子の方に向かった。
バシャバシャと無我夢中で足で海の水を蹴る。
もう少しで岩場につくところで目にしたのは、
「ほら。もう大丈夫だかんな!」
岩場に立ち、男の子の浮輪と男の子を軽々と持ち上げた監視員のお兄さんだった。
「君も!大丈夫?」
やっと岩場についた私に手を伸ばし、ヒョイっと上に持ち上げてくれた。
「あ、ありがとう・・・」
お兄さんを見上げるとサングラスからゴーグルに変わっていた。
「こちらこそありがとう。君が助けに行く姿を見て気付いたんだ」
そういいながら、ゴーグルを外して微笑んだんだよね。
私は、その笑顔に一目惚れしたんだよ。