尚君と出会ったのは半年前の夏休み。
旅行先の海で偶然に知り合った人。
眩しい太陽を背に、眩しい太陽みたいな笑顔の尚君と出会ったんだ。
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「みちか!旅行行こうよ!」
高校2年の夏休み。
いつものように私の部屋で遊んでいると、ヒーちゃんがいきなり立ち上がった。
「へ?旅行・・・?」
「17才の夏休みだよ!?これはやっぱり海でしょ!」
海かぁー。確かに、ここ何年間行ってなかったし・・・。
「私の失恋旅行と題して!」
「え!?ヒーちゃん、また別れちゃったの!?」
ヒーちゃんは可愛いし、面白いのに何故か長続きをしない。
もちろん可愛いから相手は不自由してないけど・・・。
「またってやめてよー!これでも毎回傷ついてるんだから!」
そう言うとションボリと俯いてしまった。
「あっ」
そうだよね、別れちゃったとしても好きだったことは確かなんだもんね。
「ヒーちゃんごめんねっごめん!泣かないでっ」
ヒーちゃんの体にギュッと抱き着くと少し震えている。
ひどいこと言って泣かせちゃった。
最低・・・っ
目頭が熱くなっていると、
「ぷぷっ」
くくくっと震えながら笑ったヒーちゃん。
「まさか・・・嘘泣き!?」
「ごめんごめん、みちかってばすぐ信じるから!」
こうしてヒーちゃんにからかわれるのは毎日恒例だったりする。