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一通り涙も枯れれば、残るのは垂れそうな鼻水とグチャグチャな顔だけ。
ヒロは1時間経った今も帰っては来ない。
「どぉ、しよ・・・」
そろそろ帰らないと・・・。
だけど黙って帰るのも良心が痛むよね。すごく良くしてもらったし・・・。
うーんっとうなりながら、カウンターの前をウロウロ。
でもヒロって一体何者??
冷静になって気づいたけど、私達って何も接点ないよね?
なのにあんな大勢人がいる中で、私が泣いてる事にきづいてくれて、
一緒に何時間も寒い中待っててくれて、
それでいて開店前のお店に入れてくれて・・・しかも初対面の子を一人お店に置いていくなんて。
「・・・なんか・・・ある?」
一人にしといて、実は今から怖い人達を連れてきて・・・
私今からもしかして、おっ襲われる!?
ガタガタガタ・・・
あまりにも恐ろしい考えが浮かび、思わずよろけてしまった。
「にっ・・・逃げよう」
今日は厄日なんだ。きっと悪い事は続くんだっ!
そうなる前にここから立ち去ろう!!
コートとバッグを持って、足早にドアへ向かう。
その瞬間、タイミングよくガチャリと開いたドア。
「ぎっぎゃあああああっ・・・!!」