「茶色?」


思わず出た言葉に、怪訝そうに私の方を向いた。


目尻にある小さなほくろが、ピクっと動いた。


「あぁ。目?」

いかにも“またか”っと言わんばかりに、スっと目を閉じた。


「どうして?すごく綺麗ですよ・・・?」

「・・・綺麗?」


冷たい目線を送ったまま、私を見つめた後、“まぁいいや”っとまた前を向いた。


「・・・名前、聞いてもいいですか?」


沢山聞きたいことはあったけど、とりあえず名前を知らないと・・・。


「寛久。呼び方は適当に呼べよ。大して年も変わらないし。」


「そ、そうですか?すごく年上に見えますけど・・・」


それは身長もあるけれど、大人っぽい顔立ちだし、すごく落ち着いてるし・・・。


「俺は19。夜間の大学行って、その後は大体ここでバイトしてる」


ここは、彼のバイト先だったんだ・・・。ってことは夜中に働いてるってこと?


「しかも19!?見えない・・・」


少なくても23,4は行ってるくらい大人っぽいのに。


「お前失礼だぞ。だから、お前とそんな変わらないの」


「私の年、分るんですか?」


「17だろ?・・・大体、そんくらいだろ?」


「わっ当たり!私良く友達から幼いって言われるから!嬉しいな~17に見えて!」


友達からは、中学の制服着れば今でもいけるよっなんて失礼なことまで言われるのに。


私服着てれば私も大人っぽいってことだよね!


「・・・確かに、子供っぽいかもな」


クスっと笑うと、飲み干した私のココアと自分のコーヒーカップを持って立ち上がった。


「あっご馳走様!!ココア美味しかったっ。私生クリーム乗せ大好きなの!」


そう彼の背中に向けて言うと、一瞬振り返って


「甘すぎなんだよ、これ。」

そう笑ってキッチンへ姿を消してしまった。