本当は来ないのかもって思ってたんだ。


だけど、そう思ってしまえば終わってしまうって分かっていたから。


半年間、毎日のように交わしていたメール。


半年間の想い。


すべてが終わってしまうって。


だけど隣にいてくれた男の人が、そっとマフラーを貸してくれたから。


もうちょっと待っててみようと、


思ったんだ。


「もう、大丈夫です。帰ります」

2時間。

この寒い中2時間も一緒に待っていてくれた。


「いいのか?」


「はい」


泣くのを我慢したのと、寒さで頭がズキズキする。


「本当にありがとうござ…」


お礼をしようと頭を下げると、急に具合が悪くなってきた。


「おい。大丈夫か?そのままじゃ帰れないだろ。とりあえず体温めるのが先だ。」


大丈夫です!これ以上迷惑かけれません!


そう言おうと思っても、声が出なかった。


確かにとにかく温まらないと…。


「来い」


さっきみたいに腕をつかまれて、スタスタと向かったのは地下に降りたところにあるバーみたいなカフェ。

きっと夜はバーなんだろけど、見かけも幼い私は入ったこともない。


「ここ、どこ?」

なんだかんだ言っても初対面の人。

恐い人だったらっ…

「そこ座ってろ」

指を指されたのは、ベロアのカバーに包まれた柔らかそうなソファ。


暖房器具で温まった部屋に、座り心地のよさそうなソファの誘惑に負け、とりあえず腰をかける。


バーのカウンターには、誰もいなくて証明も暗い。


お客さんも見当たらないし…ここなんなんだろう。


だけどすごく温かい。


冷えた手足がジンジンと温まる。