「俺から詩織にやめるように話しつけてくるよ。」



そう言った凌チャンさんはさっきまでおにぎりを口に入れてモゴモゴしてた人とは別人のような、真剣な顔をしていた。


「凌チャンさん、あたしは大丈夫ですよ。」


真剣な人には真剣に返さないとね。



「ダメだよ…。のんが良くても俺がイヤだから。 のんが俺のせいでいじめられるとか自分が許せない。」



「そういって貰えるだけで心強いです。 でもこれはあたしに売られたケンカで、買ったのはあたしです。 

途中で選手交代なんて情けない真似したくないんですよ。」



きっかけは凌チャンさんかもしれないけど、このケンカを買ったのはあたし自身。

買う気がなければ凌チャンさんと付き合うなんて言わないし、今頃不登校にでもなってる。



「何もせず、守られてるだけの弱い人間にはなりたくないんでね。」