しばらく見えなくなったその車の方向を見つめ


気付いたら泣いていた…。

どこがが痛いとか
あのホストが怖かったとか
そういうことじゃない…。


そういうことじゃなくて…


もし…もしあの車がちゃんと止まってくれなかったら私は今頃ここにこうして立っていることも未来に向かって自分の足で歩いて行くこともできなかったかも知れない…。


そしてそれ以上に怖いのは
大好きお父さんお母さん、妹、友達とだって会話できなくなるところだった。


「あっ…もう30分遅刻してる~、…よしっ!!」


私はあの名前も職業がホストかさえも分からない男に感謝しながら涙を拭いてバイト先に向かった。