日曜日。


誰もいない我が家で、目覚めた。もう10時か…。

今頃は薫と雄太でディズニーシーを楽しんでるはずだ。

雄太は口止めされていたらしい。僕に内緒で二人だけで出かけることを。

あの夜、帰宅してから薫に問いただした。

「アキがそう思いつくかなり前から私は気付いてた。雄太を気分転換させなきゃって。あなたには受験
の辛さとかわからないのよ。わかろうとしないのよ。だから、私にもあなたにもにも気分転換が必要で
しょ?私達の姿見えなきゃ気を遣うことなく過ごせるでしょ?だから羽根伸ばしなさい。たまには。」


一緒に楽しく過ごすのを避けたいという口実にしか聞こえない僕がおかしいのか…。

亀裂は、深まるばかりでなんの打開策も見えない。

二人に好かれるような尊敬されるような父親や夫を演じろと…?

そんなに僕は器用じゃなかった。

寂しさ、侘しさが僕を襲った。いや、そんなのは身勝手なのは頭ではわかっている。

もどかしい。情けない。

こんな時、携帯の向こう側には僕のような境遇の人たちがいるのだろうか。

そして目に見えない電波を通じて、感傷を共有するのだろうか。

それで見えない出口に明かりが灯るのなら、それにこしたことはないな。

テーブルの上の携帯に手に取る。

待受は、もちろん家族の写真。三人が三人とも微笑む、もう何年も前の古い画像…。