妻に呼ばれる愛称だ。

苦笑いをした僕の前に、雄太が急に現れた。びっくりして携帯を閉じ、

「お、お帰り!」と、とりつくろう。何も悪いことはしていないんだが、慌ててしまった。


「もう6年生だし、迎えに来なくていいよ」

真顔で言う雄太。

「いや、ほら、お母さんは心配性だろ?だから父さんがいると少しは安心するから・・」

そうだ。携帯サイトなんかより、こんなにいいチャンスはない。父と子の会話の時間。


マンションまでは15分くらいかかる。

ゆっくり歩けば、じゅうぶん話ができる。

僕はわくわくしていた。


「なぁ雄太、お父さん考えたんだが、次の日曜日みんなでディズニーシー行かないか?お母さんも雄太
も好きだろ?ディズニーシー」

打開策は、ディズニーシー…。

でも、笑顔さえ戻れば話しやすくなるし楽しいだろうし、あの嫌みな薫とだって打ち解けるはずだ…。



「ディズニーシー?あれ?お父さんも行くの?」



「…え?」