6月。

今年の春、高校生になったあたしは、まだ少し慣れない生活に戸惑っていた。


「菜々ー!また遅刻するわよー」
一階のリビングから聞こえるお母さんの声。
「今いくー!!」

バタバタと階段を降り、牛乳を一気飲みしたあたしは、そのまま玄関に向かった。

「もう、あと少し早く起きればいいのに」
そんなお母さんの言葉を聞き流し、家を出た。





今はちょうど梅雨。

じめじめとした雨と、蒸し暑い季節。
あたしは少し苦手だった。