「そしたらパパも観念したの……ううん。違うわね。やっと認めてくれたの。」



お冷やの氷が溶けて、カランと音を鳴らした。




「きっと、ずっと前から太郎さんのことは認めてたんだと思うわ。三年間、間違えなく私を愛してくれたから。」



「じゃあ…何ですぐに交際を認めなかったんですか?」


私が聞けば、奈月さんは小さく笑った。



「…認めてなかったのは、私のこと。」


「え…?」



「はっきりした意思表示のない私の気持ちを、パパは認めていなかった。口で言われたことはないけど、きっとそう。」