「太郎さんってさ、昔、ここら辺占めてた人なんだ。」


「し…占めてた…?」


「つまり、裏の権力者。暴力団絡み。」


平然と言う大ちゃんに思わず固まる。


た、確かにそんな空気はあったけど…


「逆に、奈月さんは三嶌財閥のご令嬢。」


「三嶌財閥っ!?それってかなりのお嬢様じゃないっ!!」


「そ。で、ある日偶然、二人は出会った。」



大ちゃんはそこで一度水を飲んだ。

まるで御伽噺を聞くみたいに、ワクワクする。


「…太郎さんは、奈月さんにぞっこんだった。」



さっきのを見る限りそれは、今でも変わってないみたい。