「さっきのはさ
まあイメ-ジ映像なんだけど君…の動きであれはこうなるから」

再び携帯電話のメ-ル画面を向ける彼。

先程と同じように画像と文章があたしの目に飛び込んだ。

「…ほら安心しただろ?まっ君が他言しなきゃいいけどね最終的にはね?」

「…はは」

(冗談じゃない!)

なんて言っても彼には通じないだろう。

彼はやっぱりあたし達とは違う世界の人のようだ。

だってあたしはこれからするかもしれない仮定での映像に恐怖しているのだから。

「ただのギャルじゃなくてよかったっスね♪」

「そうだね。あとそっち右に回ってね」

「あいあいさ~」

有り得ないのに笑ってしまえない。

もうそれだけであたしは彼らの前で強がられずにただ、震えてる。

ふざけてんのか真面目なのかわからないタイミングでゲ-ムのBGMを流し始めたり、ポ-ズをしながら芸人の真似をしあうふたり。

そんな異常な空間であたしは寒さに凍えるみたいに震えていた。

車の中で振り絞った言葉は一言だけだった。


「ママッ」



あたしの声は反抗期から抜け出していた形だった。