「じゃ、走らせます」

「頼む」


 ヴォォン


「あっ っつ」

「かくって(なって)かわいいっスね~」

「……ッ」

いつの間にか黒い車は走り出していて、あたしは突然の振動に揺れた。

それを笑うのは知らない男性で、彼やあたしよりずっと年上にもみえるけどサングラスと黒いキャップ帽であたしにはよくわからない。

それでも彼に親しく話してる時点で味方は“いない”と思った。

景色はどんどん流れていった。