「なにもかもが嫌なんだよ」


あたしはとうとう口にしてしまった。
相手がどう思うかも予測の範囲内で想定して。




「それってどういう意味?」


でも、説明してくれる。と手振りまでして。
大袈裟に困ったアピ-ルをする男。


それにはあたしは苦笑を漏らすしかなかった。

こんなにも。

「なあもう一回」




頼むよ──と言う。


言われれば、言われるほど!あたしはあたしの中では熱がどんどん引いてく。

寒い季節でもないのに。



あたしは爪先まで冷やしてゆくんだ。



こんなにも“好きじゃなかったんだ”と冷めて。