「オレっ」
「うん…っ」

突然声をしかも余りにも強く発音するからあたしは喉になにかをつっかえたように声が、うまく出てこなかった。

「オレ…諦めたとかそんなんじゃないんだけど夏海と付き合うことにしたから!!だからもう逃げなくていいから…つかなに黙ってんだよマヤも夏海も…貴方も」

いや、だって。

えええ。

まっ…

「待ってよ」
「陸!」

あたしの代わりにとでもいうように陸は優しく、でも問い掛けた。

陸の横顔を見て視界の端に映る夏海にあたしは益々汗を滲ませた。
夏海が一哉と手を繋いでるなんて、ちょっといつの間に。

「おれ達は逃げたりしてない。ただ」
「ただ!?」
「ただマヤを守ってやれない」
「陸…」

「大丈夫だよ」

「えっ!?」

夏海がいつもの笑顔であたしを見て空いた方の手を握った。