廊下を曲がり。

直進すると陸がほんの僅かに、足を止めた。



「なんで巻き込むんだ」



その声に陸が一瞬。息を吸い込む音が聞こえた。

あたしは黙って、まだ震えて胸があれからずっと痛む中。

彼と父親でもある先生の影をみつめていた。

廊下に延びた影は彼と重なって、ひとつになった。

黒く太い影に彼は顔を上げ、呟く。

「やっぱだめだな…」


彼の声が冷たく響いた。