廊下を進む度に周囲の声が小声ではなくなっていく。

だから友達もその声に教室を出て来て、一哉が真っ先にあたしの前に着いて。

「一哉っ」

叫んだあたしを無視して陸に睨みを利かす。

「お前、尾野だよな?」

(どうしよう)

最初からわかってたのに。

「一哉くん待って…ちょっとマヤちゃんもどうしてなんで!?」

「由華…舞彩ちゃん…みんなっ」

あたしの前に駆け付けたのはみんな友達で。


「行こう」



「…待っ」

陸が腕を引っ張ってあたしと廊下を逆走し始めた。

陸の行動にあたしは震えた。

わかってたのに!




皆を見たらあたしは怖くなってしまっていた。

だから一番仲が良かった夏海の顔が見れなかった。