ぎゅっ

拳をつくって震えるあたし。

(そっそんなこと言われたら)


「あたしだって!!」


「え?」



あ…

「あたしだってずるいと思うよ!?


一哉がそんっそんな…

…か」

「え?」


なに?と顔を表情を変えた一哉にあたしは固まる。


でも、それでも続けなくちゃと息を吸い込んだ。




「一哉に言われた言葉が痛いほどわかるもん!すっ、すごくわかるよ!?

こと‥ばを伝えるのって大変だしッ!!?


あ、たし…だったら言えないし!怖くて!


でも一哉は言ってくれたからあたし」



 ぎゅうう



「もうわかったから」

「わかってないよ一哉はまだ」

「わかる!!」


 ビクッ!!



震え上がったあたしに一哉は近付いて肩を引き寄せた。



抱き締められたあたしは一哉の胸で泣いた。
息ができない。

苦しい。

悲しい。

切ない。

でも哀しい。



あたしと一哉は一緒に涙を流した。