まさか学校で恐れられている彼のキスとか。


彼の声や上半身とかを浮かべていただなんて言えない。



あたしは実は彼と付き合いたいんだ!えへvV──なんて。

絶対に言える訳がない。

(えへ──じゃないよあたし)


「どうしたの?」


(これ以上みんなに嘘を吐くのは嫌だよぉおおお────…‥!)



気持ちとは裏腹に心中は叫んでいた。
彼と付き合いたい。
でも。

みんなを困らせたくない。


どちらの気持ちもあたしを支配していた。
笛の音が聞こえる。

目の前には太陽に反射して揺らめくプ-ル。

でもあたしはプ-ルの授業には参加しなかった。

袋は確かに持って着てたけれど、体操着だったから安心した。



「なあマヤの休みの理由ってこれ?」

「ばかっ手を縦んな横に!」

「はっお前ってまさか童貞?」

「んなわけあるかぁ~」

「嘘くせ-」