───河辺、先生な?


 ドクンドクン



今ならわかる。

先生があんなにあたしに優しかったことが。



───マヤ覚えてない!?



ママが言ったあのことが。




 ザザン



あたしの中に海が広がる。

あれは遠い夏の日。

あたしが海の家で浮き輪を買った時の話だ。

あの日はとても晴れていてまさに夏本番って感じだった。