───守ってやるよ。


「うん」

「おれは尾野陸(オノリク)よろしく」


ぎゅっと彼の背中に手を回し、よろしくとあたしも呟いた。



彼の名前は前から知ってたようにしっくりときた。

陸。

陸陸陸とあたしは頭の中で繰り返し唱えて、彼が着替えられるよう背を向けた。

 どさっ

彼が着替える音が鼓膜に届き真っ赤な顔をあたしは冷えた左手と熱い右手で覆った。

どきどきと彼に初めてあたしが抱かれる日まで、あたしは秘密を共有するつもりだ。

だから、家の鍵は彼の引き出しに閉まった。

あたしは家には帰らない。

彼は構わないと着替えながら言ってくれた。

やっと心が通じたようなそんな気分だった。