あたしは曲がりくねった道に迷い込んだ。

あたしは頼まれた指輪を探し回って、小さな箱を開けた。

碧い箱の中には指輪が入っていた。

握って、よし!
帰ろうと後ろへ足を一歩下げた。

 ズルッ

(ひっ!!)





「あっ!」






ぎゅっ──と、手から離れた指輪の箱を空中でキャッチする。

だけどあたしは見てはいけないモノを見てしまった。

 どくんどくん

だめだよあたし!

よしなよ!だっだ…








 パカッ







あたしの頭にその瞬間の音が静かに響く。



[早くっ早く着て!]

[あ?みつか]



[───いいから早く待ってるからっ!!!!]



 ぎゅっ


携帯電話を閉じて瞼を擦った。
あたしはもう戻れない。

苦しくてたまらなかった。