家につき、菓子パンを完食し、いつもの機嫌に戻った日向。
学校の愚痴とかをマシンガンのごとく母親に浴びせている。
格好はスウェットで前髪を上にあげ、胡座をかく。
その姿はまさに男。
いや、性別は女だよ?
でも、顔つきや、態度、言葉遣いはそこらの男子より数段男らしい。
しかも、男顔なだけでベースは女だから、悔しいけど綺麗な顔してる(美男子のほうだ、決して美女じゃない)。
性格は何があってか男勝りだし、平均よりだいぶ飛び抜けた身長も手伝って、もう男と言われてもしょうがない程。
でもさ、もう高3だよ?
世間一般の女子高生ってもっと女の子らしくなるもんじゃねーの?
弟ながらに姉の将来を心配する、今日この頃。
一通のメールが届いた。
送信者は翔。
そういや帰り際になんか言ってたな。
メールを開くとそこには『俺、聖夜の姉ちゃんのこと好きかも…』の文字。
………ん?
…………んん??
「………はぁぁぁぁ?!!」
リアルタイム過ぎるメールに思わず奇声をあげてしまった。
スマホの画面と、目の前にいる日向を見比べる。
「んだよ、うるせーな。」
……翔っ!
どう言うことだっ!!
急いで電話をかける。
もちろん自分の部屋で。
2回目のコールで切られてしまった。
不審に思っていると、翔からの電話。
出て、あの衝撃的なメールについて聞いてみた。
翔の一目惚れだそうだ。
電話を切り、ため息を一つ。
…………人間、不思議なもんだな。
あのモテる要素真っ只中な男が、あの男と言われてもしょうがない女を、好きになるなんて。
てか、その報告を受けた俺はどうすれば良いんだ?
日向とは仲良いし、彼氏でも作れば良いのになんて思ってたけど、実際リアルに言われると複雑だ。
知らない男ならまだしも、翔だなんて…
別に、シスコンとかじゃないからな。
ただ、……少し複雑なだけだ。
FIN.
噂の見せ物一年生。
…どっかで見たことあるような?
見せ物君@日向
ホームルームが終わり、帰る準備をしていると廊下がざわざわし始めた。
なんだろう?
友達の苺と喋りながらそんなことを考えていると、廊下からあたしを呼ぶ声が聞こえた。
廊下にでると美姫がイケメンを前に騒いでいる。
「…美姫、困ってんでしょうがー。第一、1年生見せもんにすんなよ。可哀想に」
これが噂の見せ物一年生"オノデラ"くんか。
……どっかでみたことある気がする。
絶対に見たことある。
……どこだっけかなー?
美姫を適当にあしらい、オノデラくんに話しかけると、部活結成で教室を使うらしい。
あー、司ちゃん(担任)バスケ部の顧問だ。
言っとけよなマジで。
「みんな、注もーく。この教室を使うそうなので空けてあげてくださーい。」
「「へーい。」」
女クラなのにこの品のなさはなんなんだ。
廊下に戻ると、顔を少し顔を赤くしたオノデラくんが待っていた。
「みんなここ使うって知らんかったんよ。じゃ、どーぞ。」
言うと、更に顔を赤らめる。
え、動揺し過ぎじゃない?
そんな顔赤くしなくたって良いじゃん。
なんかそわそわしてるし。
3年ってそんなに怖いもんか?
「ああ、ありがとうございます……」
噛みすぎや。
「ふは いいえー」
お、真っ赤。
思わず笑ってしまった。
そんなに焦らずともいいだろうに、面白い子だな。
FIN.
花見?
それって美味しいの?
団子?
それって……美味しいか。
でもさ、
一番は、日向でしょ?
花より団子より日向@斗真
今日は、新バスケ部の初活動。
毎年恒例のお花見だ。
部員みんなで山に登り、綺麗に咲き誇る桜を見に行く。
まぁ、実際はみんな屋台に釘付けなんだけどね。
花より団子ってやつな。
俺も新入部員と楽しく雑談しながら、お好み焼きを頬張る。
去年も食ったけど、やっぱ美味いな。
お、日向だ。
なにやってんだあいつ?
こっから顔見えねーけど、大樹は嬉しそーな顔してんだろうな。
大樹、日向のこと大好きだから。
……あれ?
なんかうちの新しいエース、顔赤くない?
まぁ、日向みたいなのが来たら、誰でもびっくりするか。
あの、かっこよさに。
日向はかっけぇ。
初めて会ったときの衝撃は忘れもしない。
負けたと思ったもん。
そこらの男子よりよっぽど男らしい。
悪口じゃねーよ?
あいつは、「可愛い」って言われるより、「かっこいい」って言われた方が嬉しいんだ。
変な奴だよな。
それを好きになった俺も、よっぽど物好きだけど。
あ、日向、帰るんだ。
ちょっくら大樹いじりにでも行ってくっかな。
ついでに新エース君の反応も見とかなきゃだし。