僕の顔を食い入るように見つめた葵さんは、数秒の後、長い溜め息を吐き出した。それから急に真面目な表情になって、僕に差し出した片手はそのままに口を開いた。
「私、キミが好きなんだけど、付き合ってくれない?」
「……はい?」
付き合うって、どういう意味で?
フリーズしてしまった僕を見て、葵さんは眉を下げて苦笑いを浮かべた。
「あ、やっぱいきなりすぎた?いやー、私の好みなんだよね、キミ。ど真ん中」
「はあ……」
なんてストレートな物言いなんだろう、と呆れるよりも感心してしまった。
もう一度目の前の彼女の顔をまじまじと観察する。
「どうやらからかってるわけじゃないみたいですね」
ふふっ、と笑いながら僕はゆっくりと立ち上がった。同時に葵さんも僕の背中を支えながら立ち上がる。